いつもの八百屋さんに行ったら
片隅の段ボール箱に
皮を剥いたトウモロコシが積まれていた。
ちょっと見栄えの良くないのが集められているらしい。
「これ美味いの?」
って訊いたら、
「ああ、大丈夫だよ」
そう言って店のオヤジさん一本を鷲掴みにすると
生のまま
バリバリと齧ってみせるのだ。
そして、もう一本手に取り
「食ってみな、甘いから」
と俺の方に差し出してくる。
生のトウモロコシなんか食ったことないから、
俺、戸惑いながら受け取り、恐る恐る口にする。
「あ、甘い!」
思わず叫んでたよ。そして、「幾ら?」って値段を問うと、
オヤジさん一瞬考えてから、
両手いっぱいに掴み上げてビニール袋パンパンに詰め込み、
「百円でいいよ」
って。やったー!
帰り際、つい大声で「オヤジさん、ありがとう!」って礼言ってたよ、俺。
家帰ると、
「茹でて冷蔵庫に入れときゃ明日も食えるから」
と教えてくれたオヤジさんのアドバイスに従い、
早速、鍋に湯を沸かして、切ったトウモロコシを放り込んだ。
そして、ふっくら鮮やかな色に輝くのをかぶりつく、うう、たまらん!
幸福の黄色いトウモロコシ