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11月13日(木)2025

当然ながら歳とともに

歩行速度は落ちてきて

後ろから来た歩行者に追い抜かれること

しばしばである。

この日も狭い鋪道を歩いてたら、

どっかの若いネエチャンに

ほらほら邪魔よ、チンタラ歩いてんじゃないわよ、

どいてどいて!

と言わんばかりに追い抜かれてしまった。

俺は、ああ、いつものことさ、

と自嘲しながら

颯爽と遠ざかる後ろ姿を見送る。

けど、そのネエチャン

十メートルほど先で突然立ち止まった。

そして何やら悲痛な顔して、しきりに靴を気にしてる。

俺、追い付いて目を向ける。

ネエチャン、犬のウンコを踏んでしまっていたのだ。

泣きそうな怒った顔して

靴の裏を覗いてはアスファルトにこすり付けている。

おお、可哀想に。

でも、おかげで、俺、踏まずに済んだ。

ありがとう、ネエチャン。

そう胸の中で呟きながら通り過ぎて行く。

歳を取るのも悪くないかもしれない、

そう思った秋の昼下がり。