朝の散歩コースになっている
公園では
老若男女、多くのランナーさん達を
見かけるんだけど、
ちょいと目立つランナーさんが一人いる。
初老の男性で見かけはごく平凡。走り方もきわめて普通。
ただ、息継ぎの声が独特。
もう何だか断末魔の死にそうな声で
「うああっ、うああっ」
と、なかなかの音量を絞り出しているのだ。
時代劇の切られ役が死に際にあげる悲鳴にも似てる。
その人が
「うああっ、うああっ、うああっ・・・・・・」
と叫びながら走ってくると
俺を含めほとんどの通行人が振り返ってしまうのである。
いやはや、何やら紛らわしいよ。
もし、いつか、そのランナーさんが
本当に何かの危機に遭遇して
悲鳴をあげたとしても
もうその時には既に誰もが慣れてしまって
ああ、またか、って
何も気にかけなくなるんじゃないだろうか?
オオカミ少年の二の舞にならないよう祈るばかりである。