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4月17日(日)2022

夕刻、町内で買い物をした帰り道、

多勢の通行人がスマホ歩きをしている中、

三十代半ばくらいの男がただ一人だけ

単行本を片手にして

歩き読みしながら

颯爽と過ぎ去って行く、

のを見かけた。


おおっ!と思って、

その本の表紙を見たら、

凄く凄くマニアックな本格ミステリ

だったので、

再び、おおっ!


すれ違う瞬間、

向こうも

こちらを鋭く一瞥した。


何というか

本格ミステリに求道する者だけが放つ

同じ波動を

お互いに感じたのかもしれない。

そう、

侍同士が殺気を覚えるように。


心地よい緊張が走り、

風に呑まれ、黄昏に消える。

ほんの一瞬のことだった・・・