オンエア中の朝ドラ「ブギウギ」に
登場する作曲家・服部良一(劇中では羽鳥善一)先生は
なんと、わが地元の西荻窪に住んでいたらしい。
そして、伝記によれば
ある日、 先生が帰宅途中の中央線の車内で
ふと、あの「東京ブギウギ」のメロディを思いつき、
西荻窪駅で降りるや、
真っ直ぐ駅前の喫茶店「こけし屋」に駆け込み、
店のナプキンに曲の音符を書き連ねたというのだ。
いやはや、すこぶる驚いたよ。
この「こけし屋」、いつも俺が編集者との打ち合わせに利用してる店なのだ。
作家デビュー以来、30年間、ずーっと「こけし屋」。
企画の打ち合わせ、ゲラの受け渡し、表紙デザイン案のチェック、完成見本の受領、
インタビュー、合同サイン会など、対人仕事はほとんど全てここで行なってきた。
って、いうか、西荻在住の同業者や業界人は皆さん同様なわけで、
いわば、各人にとって地元の第二のオフィスのような存在なのである。
そんな場所が、何と、あの名曲「東京ブギウギ」生誕の地だったとは!
いやはや、驚くやら、喜ばしいやら、誇らしいやら、
同時にそのことを知らなかった己(おのれ)の不明を恥じるやら・・・・・・。
まあ、俺的には、松本清張、中井英夫、有馬頼義、荒正人(敬称略)といった
ミステリの偉大な先達が常連だったので、
それにあやかって、利用していたわけだけど、
ここに新たに、輝かしい昭和史の一ページを知り、嬉しさがいや増すばかりである。
が、しかし、無邪気にはしゃいでる場合ではない。
現在、この「こけし屋」は存在していない。取り壊し改築中なのだ(完成は二年後)。
なので、今、地元の同業者・業界人は第二オフィスを失い、
「打ち合わせ難民」と化している!?
つい先だっての年末、かく言う俺も困ってしまった。「こけし屋」の代わりに
「コメダ珈琲店」で編集者と待ち合わせしたのだけど
満員で入れず(電源やWi-Fiの環境が良すぎてリモート勤務者らが占拠?)。
通りを流浪し、三軒目の小さな喫茶店でようやく腰を降ろすことができた、ホッ。
けど、やっぱし、何か落ち着かない。
野球選手で言うところのホームグラウンドじゃないみたいで、ね。
ああ、早く、一日も早く、「こけし屋」よ、復活してくれ!
これは西荻在住の浮き草稼業の輩すべての魂の叫びなのであーる!
あのブギウギ・ウキウキ・ワクワクの素晴らしい店よ、プリーズ、カムバーック!